Ryo Saito / 斎藤 稜

ドイツ近現代哲学を中央大学で学んだのち、飛騨高山にて2年間家具製作の修行をする。
ブータンの非政府組織(CPA Bhutan)、ボツワナの国立職業訓練校(Marobela Brigade)にて約3年間、木工の技術指導に従事しつつ、現地の技法を学ぶ。

1991年山口県山口市出身。

2014年中央大学哲学科を卒業し、岐阜県高山市で二年間木工修行をする。

2016年NPO団体「自立のための道具の会」の会員としてブータン王国にて木工指導に従事。

2019年青年海外協力隊としてアフリカのボツワナ共和国の職業訓練校に赴任。

2020年コロナウイルス感染拡大のため日本に帰国し、山口市で作品制作と木工ワークショップを行う。

2021年3月 瀬戸内ジャムズガーデンにて個展
12月 ゆめタウン下松店 東急ハンズ プラグスマーケットにて展示販売

2022年9月 広島三越で展示販売
11月 100人10野村証券株式会社本店ウェルス・マネジメントグループAWARD受賞

2023年4月 京都 ギャラリーITO 個展「越境するポイエーシス」
7月 東京 丸善 丸の内本店 展示販売
9月 広島 三越 展示販売
11月 東京 丸善 日本橋店 展示販売
11月 福岡 博多阪急 展示販売

 22歳から岐阜県高山市で木工を学び、その後ブータンやボツワナで木工の指導を行いました。2020年に山口市に帰り、家具や木製カトラリー制作のかたわら、木工ワークショップを定期的に開催しています。


 生産性が追求されている現在、木工品もその影響を受け、多くの製品が工業製品化した木質素材(合板、集成材、MDFなど)を材料として作られています。


 量産し、利潤を追求し、人々の需要を満たし、つかの間の時を経て捨てられいくものたち。そういうものを消費することも、またその生産に携わることにも何か空虚なものを感じていた20代の私は開発途上国と言われている国々には、かつてのものづくりのあり方がまだ残っているかもしれないという想いもあり、南アジアとアフリカに赴きました。


 そこで出会った職人達は、木材を単なる素材として扱うのではなく、制作という行為を通じて樹木と対話し、素材を単にコントロール可能な物質と見なしてはいませんでした。


 例えば、ブータンの木のお面を作る職人は木目の表れ方によって顔の表情に変化をつけていましたし、チベット人の大工は山からチェーンソーで木を伐採し、その樹形を活かすように板に製材していました。


 アフリカの伝統的な一木造りの椅子はその樹木の大きさをできるだけ損なうことのないように作られていました。


 一方向でも不可逆的でもない、樹木と手仕事の総合的な関わり、その関係性の中で人の情念に訴えかけるものを作りたいという想いから、森林資源が豊富な日本の木を用いた彫刻的な作品を制作しています。